東久留米日記

時事メモやオモチャと文房具のリサイクルとかごみ収集の話とか

「きのう何食べた?」

再録2+新1



きのう何食べた?」は男女逆転劇の「大奥」の作者によるゲイカップルのマンガ。
出来上がったおかずが本当に美味しそう。(*≧∇≦)p 会社から帰ってからの時間で作れるレシピ。安い食材の使い回しが秀逸で、節制と節約に励む主婦っぷりが見事で、自分ちでも作って食べてみたくなる、うちごはんマンガv

週刊モーニング(男性向け雑誌)掲載。美容師と弁護士のゲイカップルの日常(注 といっても、濡れ場的なものはないので、ある意味安心して親が子どもに薦められる)とウチご飯のマンガ。

以下、うんちく。
よしながふみきのう何食べた?」 × 内田樹「こんな日本でよかったね」(文庫あり)× 荻丸 雅子「半熟レストラン」
「こんな日本でよかったね」には沢山のテキストが詰まっているが、そのなかで、原理主義と機能主義を対比させていたのには目からウロコだった。原理主義の「これこれは、こうであらねばならない」に対して機能主義は、手持ちの材料を使いまわして事に当たる、いま手元にある思想、主義、主張、モノの見方、考え方、いろんな環境や素材を鑑み、計量して、なんとかそれを使いまわして解決をはかっていく、いわば手持ちの材料で対象を料理することというふうに理解するなら、文字通り「家庭料理」は、「機能主義」で行くのが経済的だ、「きのう何食べた?」の筧史郎さんは家にある素材を中心に何が出来るか考え、使いまわし、無駄を出さないこと、必要最小限の予算で、おいしい料理をつくり、気持ちよく生活することを考えて、うちゴハンと日常を、きりもりしていく。
、筧さんは機能主義の手法の人なのだ。

それなら、ごはんづくりの原理主義は何かと考えると、たとえば「麻婆豆腐はこれこれの材料を使い、それ以外認めない」「手元にアレがないからといって、コレで代用するとか、ソレを使ってみるなどというのは邪道だ。」という感じで、「このメニューはこれこれの材料で作らねばならない」主義だ。ウチごはん(家庭料理)をそういうメニューの立て方、作り方をしていったら続かないだろう。使い残しが出て、不経済でもある。が、この原理主義に則って作られているのがレストランや定食屋だ。

 「半熟レストラン」の主人公ハナは父の定食屋の卓のプラスチックの板に挟まれた定番のメニューを恥ずかしく思っていた。が、自分も店をもち成長する中で、情けなく思っていたそのお品書きは、一流レストランであれ、場末の定食屋であれ、「ここではいつ来ても同じ味の同じ料理がありますよ」という、客に対する「お店の約束」なのだということを知る。料理する人の矜持というものが面白く読める。「半熟レストラン」はもっと知られていい料理マンガだと思う。

きのう何食べた?」の6、7巻を昨年末購入。シロさんがいろいろ諦めて、というか諦めがついて楽に生きるようになってきているのが良かった。ゲイカップルは世間的にはマイノリティである。「女、子ども」「オタク」という括りも世間的には同義語なので、読者は主人公たちに感情移入して読めるのである。